従来のオンラインアフィリエイトの仕組みをリアル店舗の買い物に持ち込み、メーカーの販促費を成果報酬型に転換することで急成長を遂げている。
クラシルは、レシピ動画サービス「クラシル」を起点に、オフライン購買領域に革新的なビジネスモデル「レシチャレ」を展開する企業である。従来のオンラインアフィリエイトの仕組みをリアル店舗の買い物に持ち込み、メーカーの販促費を成果報酬型に転換することで急成長を遂げている。
| 指標 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 40.3億円 | +42% |
| 売上総利益 | 19.0億円 | +41.6% |
| Non-GAAP営業利益 | — | +77.2% |
| 事業 | 売上構成比 | 売上高(概算) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| メディア事業 | 約49% | 約19.7億円 | +16.8% |
| 購買事業 | 約34% | 約13.5億円 | +117% |
| その他 | 約17% | 約7.1億円 | +34.1% |
現在はメディア事業(レシピ動画「クラシル」)が売上の約半分を占めるが、購買事業が前年比2倍以上のペースで急成長しており、1年後には購買事業がメディア事業を上回る見込み。
レシチャレは「オフライン購買に特化した成果報酬型の広告プラットフォーム」である。オンラインのアフィリエイト広告の仕組みを、スーパーやドラッグストアなどリアル店舗での買い物に適用した革新的なモデル。
| 項目 | 従来の販促 | レシチャレ |
|---|---|---|
| 費用発生タイミング | 先払い | 売れた分だけ後払い |
| 効果測定 | 困難・不明確 | 購買データで明確 |
| ROI | 測定困難 | 可視化可能 |
| ブランド価値 | 値引きで毀損リスク | 店頭価格維持可能 |
| リードタイム | 長い(交渉・準備) | 短期間で開始可能 |
従来、メーカーがオフライン購買データを取得するには小売のPOSデータとの連携が必要で、交渉やシステム連携に多大なコストがかかった。レシチャレは「レシート画像」という誰でも持っているものを活用することで、このハードルを迂回した。
preview.webp
従来、メーカーは卸・小売に商品を卸した時点で売上が立つが、消費者に買ってもらえなければ次の発注が来ない。そのため消費者向けの販促が必要だったが、テレビCMやチラシなどの従来手法では「先に払って効果は不明」という状態だった。 レシチャレにより、販促費を「売れた分だけ払う」成果報酬型に転換でき、マーケティング費用のリスクが劇的に低下した。
バスケット単価の上昇、在庫回転率の向上といったメリットがあるが、メーカーほど大きなインパクトではない。小売は「お金を払う顧客」というより「店舗網を提供する協力者」という位置づけが強い。競合店が導入しているから乗り遅れたくない、という動機も大きいと考えられる。
ふだんの買い物でポイントが貯まり、お得に商品を購入できる。インフレ環境下で節約志向が高まる中、利用者が増加している。
メーカー・小売の両方からサービス利用料を受け取り、収益を得る。ただし主な収益源はメーカー側。
2016年から展開するレシピ動画「クラシル」で築いた食品・飲料メーカーや大手小売企業とのリレーションを活用。通常、購買領域への新規参入にはメーカー・小売との関係構築に多大な時間と労力がかかるが、クラシルは既存の顧客基盤により立ち上がり期間を短縮。これは新規参入者に対する大きな参入障壁となっている。
レシート画像から店舗情報だけでなく商品単位の購買情報を取得可能。一般的な決済系サービスでは得られない詳細なオフライン購買データを蓄積でき、精度の高いターゲティングプロモーションを実現できる。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| アプリMAU | 267万人 |
| 提携小売店舗 | 3万3,000店舗以上 |
| 食品・飲料ナショナルブランド | 約9割をカバー |
2025年8月より、レシチャレの仕組みを外部アプリに提供する「クラシルリテールネットワーク」を開始。Yahoo! JAPANおよびSmartNewsアプリへの導入を進めており、自社アプリ外のユーザーにもリーチ可能に。本格的な収益貢献は来期以降の見込み。
ドラッグストア:成功事例を構築し、同業他社への展開が加速中 スーパーマーケット:大手企業がトライアル開始、POSリフトの成果確認済み コンビニ:今後展開予定
レシチャレは初期のARPUは低いが、ユーザーが継続利用するほど1人あたりの取引額が増加する構造。新規ユーザー獲得と既存ユーザーのARPU向上が積み重なり、売上が継続的に成長するモデルとなっている。
オンライン領域のボラティリティ:広告主の出稿方針変更、サイバー攻撃、株式市場の動向などの影響を受けやすい。このためレシチャレ(オフライン)中心へのシフトを進めている。 小売側のメリットが相対的に小さい:店舗網拡大の速度に限界がある可能性。 競合リスク:類似サービスが登場した場合の影響。
クラシルは、オンラインアフィリエイトの成果報酬型モデルをオフライン購買領域に持ち込むという革新的なアプローチで、メーカーの販促費の非効率という長年の課題を解決した。レシピ動画で築いた顧客基盤を活用し、購買事業を急成長させている点は高く評価できる。 Yahoo! JAPANやSmartNewsとの連携、小売パートナーの拡大など成長ドライバーも明確であり、今後も継続的な成長が期待される。